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 ピアノ調律師サリーパパの濃すぎるピアノ・ストーリー  マガジンID:08567
ピアノ調律師サリーパパです。一般の個人宅に伺うこともあれば、コンサートの調律もあり、学校の調律もあります。そんな日々出会うピアノと持ち主様の深くて濃~いお話です。

最終発行日:2017年3月31日 総発行回数:10回
登録日:2016年11月8日 読者数:19
発行周期:不定期 登録料:無料
バックナンバー:全て公開 発行者のホームページ

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 廃棄寸前のピアノの新しい人生…その②
  発行日時:2016年12月27日 マガジンNo.08567
児童館の片隅に放置されたグランドピアノ。外装は塗装が剥がれ、ハンマーは摩耗し、鍵盤はガタ
ガタ、弦も錆びだらけしかし、僕はこのピアノをなんとかこのままの人生で終わらせたくなかった
のです。

ピアノとして生まれてきた以上、やっぱり、ピアニストに弾いてもらいたい。グランドピアノとし
ての素質を発揮させたい!

そう思ったのです。

それで、そのピアノを三万円で買い取りました。それから、まず買い手を探しました。

古くてもいいからグランドピアノが欲しいひと。きっといるはず。しかもG2の大きさは、四畳半で
も使える大きさです。小さなグランドを欲しい人が必ずいるはずだと思いました。

前にグランドピアノが喉から手が出るくらい欲しいと言ってたお客さんを思い出しました。
そのときはYAMAHAのG3のマホガニー色の古いピアノでした。

しかしこのお客さんは当時、3本ペダルにこだわっていて、ソステヌートペダルを使えないと…と断
られたことがありました。しかし、古い2本ペダルでも、グランドにはアップライトにはない、タ
ッチの表現があることを説明し、こんなチャンスはもうないですとお話しました。

実はそのお客さんは、元々は作曲家を目指して、音大を卒業したものの、脳腫瘍になり、寝たきり
になって、音楽家の道を諦めていた人です。

しかし、色んな縁で、オペラ歌手の伴奏をすることになり、アップライトでは対応出来ない状況に
ありました。その人は、もちろん、今回はチャンスを逃したくないとのことで、引き取りを希望し
ましたが、そこで父親からの反対が起きたのです。グランドピアノなんか置く場所はない、邪魔な
だけだ!と、まるで理解を示してくれませんでした。しかし、その人はこのピアノには運命的なも
のを感じでいて、決して諦めませんでした。これを逃したらもうグランドを手に入れるチャンスは
もうないだろう。そう、考えました。そして、ついに説得に成功し、グランドピアノが運ばれるこ
とになったのです。その人はそのピアノを「マーピアン」と名付け、練習に励むようになりまし
た。50年も学校や児童館でメチャクチャに扱われ、その後放置されたYAMAHAのG2

その人生を終わるかと思っていたそのピアノは、今はアレンジピアニストの相棒として
、ドビュッシー、ショパン、シューベルト、現代音楽などを奏でているのです。
ピアノは、その持ち主の身体の一部のようになると言われています。
今まで、誰か個人の所有物となったことのないグランドピアノ。
50年経って初めて、「誰かの」ピアノとなった。そしてそれは、一人のピアニストを救った。

僕は、こんなドラマチックな経験をしながら、この仕事をしてて本当によかったと思うのです
。ちなみに、「マーピアン」とは、僕の名前を入れて付けてくれたのです❗

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